指定居宅サービス等の事業の人員一部を改正する省令(仮称)案について
介 護 保 険 最 新 情 報 Vol.1187 令和5年 12 月4日
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関 する基準等の一部を改正する省令(仮称)案に係るパ ブリックコメントの開始についての送付について、という内容が発出された。
パブリック コメントとは、
規制の設定又は改廃等にあたり、政省令等の案を公表し、この案に対して国民のみなさまから提出していただいたご意見・情報を考慮して意思決定を行う手続です。
「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案に係るパブリックコメントの開始について」要約
令和6年度介護報酬改定において現在、社会保障審議会介護給付費分科会で指定居宅サービス等の事業の基準(居宅基準)改正について議論中。この改正が地方公共団体での条例改正を必要とする可能性あり。そのため、介護報酬改定に先立ち、居宅基準についてパブリックコメントを開始する旨、分科会の了承を得て、本日よりコメントを募集中。関係部局には概要を通知し、円滑な介護報酬改定の実施にご協力を呼びかけている。都道府県には周知をお願いしている。
各10項目の要約
1.訪問系サービスの要点:
- 介護予防訪問リハビリテーション: – 入院中に医療機関が作成したリハビリテーション計画書の入手及び把握を医師等に義務づける。 – 訪問リハビリテーション事業所のみなし指定を介護老人保健施設や介護医療院の開設許可に基づいて拡充。当該施設の医師配置基準を満たすことで医師の配置基準を満たしたものとみなす。
- 介護予防居宅療養管理指導: – 経過措置期間を3年間延長し、令和9年3月31日までとする。委員会の開催や研修の実施など高齢者虐待防止の措置に対する義務付けを含む。 – 感染症や非常災害時の業務継続計画や研修の実施に関する経過措置期間も3年間延長し、令和9年3月31日までとする。
2.通所系サービスの要点:
- 介護予防通所リハビリテーション: – 入院中に医療機関が作成したリハビリテーション計画書の入手及び把握を医師等に義務づける。 – 通所リハビリテーション事業所にみなし指定を受けた介護老人保健施設や介護医療院においても、医師の配置基準を満たすことで医師の配置基準を満たしたものとみなす。これは、訪問リハビリテーションの見直しに合わせての取り決めである。
3.短期入所系サービスの要点:
- 短期入所生活介護および短期入所療養介護において、ユニットケアの質を向上させるため、ユニット型施設の管理者はユニットケア施設管理者研修を受講する必要がある。これは、ユニットケアの質の向上を図るための体制整備に対する要件である。
4.多機能系サービス
- (1)(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護 ○ 管理者の兼務 提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営 する観点から、(看護)小規模多機能型居宅介護の管理者による他事業所の職務と の兼務について、兼務可能な他事業所のサービス類型を限定しないこととする。 (指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成 18 年 厚生労働省令第 34 号。以下「地域密着型基準」という。)第 64 条及び第 172 条並 びに指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地 域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する 基準(平成 18 年厚生労働省令第 36 号。以下「地域密着型予防基準」という。)第 45 条関係)
- (2)看護小規模多機能型居宅介護 ○ サービス内容の明確化 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部 を改正する法律(令和5年法律第 31 号)による介護保険法の改正により、看護小 規模多機能型居宅介護のサービス拠点での「通い」「泊まり」における看護サービ スが含まれる旨が明確化されたことに伴い、所要の改正を行う。(地域密着型基準 4 第 177 条関係)
5.福祉用具貸与・特定福祉用具販売に関する要点:
- **選択制の対象福祉用具の提供に係る説明と提案:** – 特定福祉用具販売の範囲に一部の福祉用具の貸与が含まれる場合、その選択制対象福祉用具の提供に際して、福祉用具専門相談員が利用者に対して詳細な説明を行い、適切な提案を行うことが義務付けられる。
- **福祉用具貸与:** – モニタリングの実施時期が具体的に記載され、モニタリング結果の記録が介護支援専門員に提供されるようになる。 – 選択制の対象福祉用具の貸与後、福祉用具専門相談員が定期的なモニタリングを行い、貸与継続の必要性を検討することが義務づけられる。
- **特定福祉用具販売:** – 特定福祉用具販売の提供において、福祉用具専門相談員が計画の目標の達成状況を確認することが義務づけられる。 – 選択制の対象福祉用具に係る販売後、福祉用具専門相談員が必要に応じて使用状況を確認し、使用方法の指導や修理(メンテナンス)を行うよう努めることが規定される。
6.居宅介護支援・介護予防支援の要点:
- 公正中立性の確保のための見直し: 居宅介護支援事業者は、事業者の負担軽減を図るため、前6ヶ月間の居宅サービス計画における各サービスの利用割合や同一事業者による提供割合などを利用者に説明し、理解を得ることが努力義務となる。
- 指定居宅サービス事業者との連携によるモニタリング: ケアマネジャーは、利用者の居宅を訪問し、テレビ電話装置等を活用したモニタリングを行うことが可能である。ただし、利用者の同意や主治医・担当者の合意が必要であり、安定した心身の状況やテレビ電話の利用可能性などが条件とされる。
- ケアマネジャー1人当たりの取扱件数: 指定居宅介護支援事業所ごとにケアマネジャーの必要員数が見直され、要介護者と要支援者の数に基づいて配置される。電子的なデータ送受信が活用され、一定の基準に基づいて必要なケアマネジャーの数が設定される。
- 介護予防支援の円滑な実施: 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援を行う際には、必要な介護支援専門員や管理者を配置する基準が設けられ、市町村に情報提供が求められた場合は介護予防サービス計画の実施状況等を提供することが求められる。
7.居住系サービスに関する要点:
- **特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(介護予防):**
– 特定施設において、テクノロジーの活用や職員の役割分担などにより、介護サービスの質向上と職員負担の軽減が図られている場合、看護職員および介護職員の配置基準を、要介護者数が3人(要支援者の場合は10人)ごとに0.9以上確保する特例的な柔軟化を行う。 - **特定施設入居者生活介護(介護予防):**
– 全ての指定特定施設で口腔衛生管理の体制を強化し、入居者の状態に応じた口腔衛生管理を計画的に行う。これに伴い、3年の経過措置期間を設ける。 - **居住系サービス共通(特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護)および軽費老人ホーム:**
– **協力医療機関との連携体制の構築:** – 高齢者施設内で対応可能な医療を超えた場合、協力医療機関と連携し、適切な対応を確保するために要件を満たす協力医療機関を定め、連携体制を構築する。協力医療機関との対応確認を年に1回以上行い、その結果を提出する。
– **新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携:** – 新興感染症の発生時に備え、平時から事業所内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を整備するため、第二種協定指定医療機関との連携を強化する。感染症発生時の対応に関する協議を行うとともに、連携について協定を締結する。
8.施設系サービスに関する要点:
- **介護老人福祉施設(小規模施設):** – **小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和:** – 離島や過疎地域にある小規模介護老人福祉施設において、指定短期入所生活介護事業所等が併設される場合、医師や生活相談員などの配置について、指定介護老人福祉施設の医師や専門員が充実していれば、それらを置かない柔軟性を導入。
- **介護老人福祉施設および地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護:** – **対応方法の見直しの義務化:** – 緊急時の対応方法について、配置医師と協力医療機関の協力を得て定め、1年に1回以上見直しを行うことを義務付ける。
- **施設系サービス共通(介護老人福祉施設、地域密着型老人福祉施設入所者生活介護、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院):** – **ユニットケアの質向上のための体制確保:** – ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努める。
– **協力医療機関との連携体制の構築:** – 高齢者施設内で対応可能な医療を超える場合、協力医療機関との連携を強化。要件を満たす協力医療機関を定め、入所者の病状急変時の対応を確認し、自治体に報告する。
– **新興感染症発生時の対応:** – 新興感染症の発生に備え、第二種協定指定医療機関との連携を強化し、新興感染症の発生時の対応について協議を行うことを義務付ける。
9.短期入所系、多機能系、居住系、および施設系サービスにおいて、
- 介護現場の生産性向上のための方策を検討するための委員会の設置が義務付けられる。この取り組みは、現場の課題を抽出・分析し、事業所において必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら業務改善に取り組む環境を整備することを目的としている。委員会の設置は3年間の経過措置期間を設けて実施される。
10.全サービス共通の規則見直し
として、事業所内の掲示物はウェブサイト上で閲覧できるよう義務付けられ、管理者の兼務範囲も明確化される。また、身体的拘束等の適正化のために短期入所や多機能系サービスでは措置が義務付けられ、訪問系サービスや通所系サービスなどでは特定の場合を除き身体的拘束を行わないよう義務づけられる。
11.その他所要の改正
居宅介護支援・介護予防支援4つの内容について深掘り
①構成中立 ②モニタリング ③ケアマネージャー一人当たりの取り扱い件数 ④介護予防支援の円滑な実施についてもう少し詳しく見ていきましょう
- 構成中立:前6ヶ月間の居宅サービス計画における各サービスの利用割合や同一事業者による提供割合などを利用者に説明し、理解を得ることが努力義務となる。
- モニタリング方法と期間: 自宅に訪問してのモニタリング毎月 →2月に1回で良い、条件:テレビ電話を使う 介護予防は3月に1回→6月に1回で良い
- ケアマネージャー一人当たりの取り扱い件数:現在ケアマネ1人あたり、要介護者44人以下→ケアプラン データ連携を導入していれば49人以下
- 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援の指定を受ける
終わりに
ここ10年くらいのケアマネを取り巻く環境について
2015年ケアマネのアセスメント力の低さが問題視された。
2017年VISITの運用を開始(後にLIFEになる)
2019年ケアマネの実務者研修受講試験の受験資格が国家資格を持つ者に限定された。
2020年以降ケアマネの受験者は低下・CHASEの運用を開始(後にLIFEになる)
2021年介護の記録業務の負担軽減から、電磁記録の保存が認められICT化が推進される!
2021年根拠に基づくケアが必要でありLIFE(エビデンスに基づく介護)が開始、
2023年ケアプランデータ連携システムが開始された。
国はケアマネの人数が足りないけど、アセスメント力を持つケアマネを増やしたい。それには、医療・社会福祉の知識を持ちデータを基にアセスメントを行いICTを使いこなしてマネジメントできるケアマネは1人で多くの高齢者を担当できると思っているのでしょう。そして、その様な環境を整えていると言いたいのでしょう。しかし、医療・福祉の基礎知識を持ち、PCを使いこなせるケアマネが現在どのくらいいるのでしょうか?研修を行なってその様な人材を育てているのでしょうがどうなのでしょうか?
・ケアプラン 連携システムはまだまだ可動し始めたばかりで十分に機能しているとは言えないと思います。
・ICT化が遅れている事業所・事業者・それらの地域では機能していない業務も多いと思います。
・モニタリングも担当者会議についても、変化の少ない高齢者の場合は各事業所との情報交換が出来て記録として残すことで簡素化できる様になるのでしょう
・申請業務にしても、オンラインで行える様になるとかなり業務が簡素化されて良いと思うのですがそれも事業所・事業者で地域差が生じるのでしょう
・市町村においてローカルルールがあり簡素化が出来ない事もあるのかもしれないと思います。
見方によればICTが進む事で確かに多くの業務が簡素化されると思っています。それによりケアマネ業務は減ると思います。しかし、ケアマネに必要なスキルとしてコミュニケーション力がとても必要である様に思います。高齢者、家族、介護職、行政、医療機関それらの窓口の人との対話、電話のやり取り、文章力が大切でそれこそが日常の業務としてとても多い。
どんな業種でもこのコミュ力はとても大切である様に思います。